妊娠と甲状腺疾患:赤ちゃんへの影響は?|わかりやすく解説

「妊娠中に甲状腺の数値が高い(または低い)と言われたけど、大丈夫?」
「赤ちゃんに影響があるって本当?」
妊娠中のホルモンバランスの変化は、甲状腺に大きな影響を及ぼすことがあります。
特に妊娠を希望されている方、または妊娠中に甲状腺の異常を指摘された方に向けて、妊娠と甲状腺疾患の関係について解説します。
甲状腺とは?妊娠中にも大切なホルモンの司令塔
甲状腺は、首の前側にある小さな臓器で、
体の代謝やエネルギーのバランスを保つホルモン(T3、T4)を分泌しています。
妊娠中は、赤ちゃんの脳や体の発達のために、お母さんの甲状腺が通常よりも活発に働きます。
そのため、甲状腺ホルモンの異常があると、母体だけでなく赤ちゃんの発育にも影響を与える可能性があります。
妊娠と関係する主な甲状腺疾患
1. 甲状腺機能低下症(橋本病など)
- ホルモンの分泌が少なくなる状態
- 疲れやすい・むくみ・便秘・体重増加などの症状
- 妊娠初期の流産や早産のリスクがやや上昇
- 治療:レボチロキシン(ホルモン補充)で安全にコントロール可能
2. 甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)
- ホルモンが過剰に出てしまう状態
- 動悸・発汗・体重減少・イライラ感など
- 胎児の発育障害、妊娠高血圧症候群のリスク
- 治療:抗甲状腺薬(妊娠中も使用可)でコントロール
妊娠中の甲状腺異常が赤ちゃんに与える影響とは?
妊娠中の甲状腺ホルモンの異常は、赤ちゃんの健康にも影響を与えることがあります。
お母さんの状態 | 赤ちゃんへの可能性のある影響 |
---|---|
甲状腺機能低下症 | 流産・早産・低出生体重児・知的発達への影響(未治療時) |
甲状腺機能亢進症 | 胎児甲状腺異常・発育不良・分娩時の合併症 |
ただし、適切に治療・管理されていれば問題ないことがほとんどです。
妊娠前・妊娠初期にしっかりと検査・治療することが、母子の健康を守る鍵になります。
甲状腺と糖尿病は関係あるの?
はい、実は糖尿病と甲状腺疾患は関係が深いことが知られています。
- 1型糖尿病の方は、自己免疫性の橋本病やバセドウ病を合併しやすいです。
- 2型糖尿病でも、甲状腺機能の異常が血糖コントロールに影響を与えることがあります。
妊娠中に糖尿病(妊娠糖尿病)と診断された方も、甲状腺機能のチェックをしておくと安心です。
妊娠前・妊娠中にできること:チェックと対策
妊娠を考えている方、または妊娠中の方は、以下の点を意識しましょう。
妊娠前のチェック
- 健康診断でTSH(甲状腺刺激ホルモン)値を測定
- 家族に甲状腺の病気がある方は特に注意
妊娠中の対策
- 定期的な血液検査とエコー検査
- 医師と相談しながら、安全な薬でホルモンバランスを整える
よくある質問(Q&A)
Q. 妊娠中に甲状腺の薬を飲んでも赤ちゃんに影響はありませんか?
A. 適切に処方された薬は安全性が高く、赤ちゃんの健康を守るためにも大切です。勝手に中止しないようにしましょう。
Q. 無症状でも検査を受けるべき?
A. 特に妊娠を希望する方や、既に糖尿病がある方は、甲状腺のチェックがおすすめです。
まとめ|妊娠中の甲状腺管理は、母子の健康の第一歩
甲状腺の病気は、妊娠・出産に大きな影響を与える可能性がありますが、
早期発見・適切な治療によって、元気な赤ちゃんを迎えることができます。
症状がなくても、妊娠を予定している方や妊娠初期の方は、ぜひ一度検査を受けてみてください。
妊娠と甲状腺のご相談は、立川市の内科『はごろも内科小児科』へ
当院では、妊娠を希望される方・妊娠中の方・糖尿病のある方への甲状腺チェック・治療を行っています。
妊娠期の不安にも丁寧に対応いたします。お気軽にご相談ください。