痛みのスケール評価と医師への伝え方

「どのくらい痛い?」をうまく伝えるために

「痛みがあるんですが…」と病院で伝えたとき、医師から『痛みの程度はどのくらいですか?』と聞かれたことはありませんか?
このとき役立つのが「痛みのスケール評価」です。
これは、痛みの強さを数字や顔の表情などで表現する方法で、医師が適切な診断・治療を行うための重要な手がかりになります。


痛みのスケール評価とは?

● 数字で伝える「NRS(Numerical Rating Scale)」

0~10の数字で痛みの強さを表します。

  • 0:痛みなし
  • 10:今まで経験した中で最も強い痛み

たとえば、「痛みは5くらいです」と伝えると、中程度の痛みと評価されます。

● 顔で伝える「フェイススケール(顔面表情尺度)」

主に小児や高齢者に使われますが、大人でも活用できます。
顔の表情のイラストを見て「自分の今の痛みに近い顔」を選びます。

● 言葉で伝える「VAS(Visual Analog Scale)」

痛みのない状態から最も強い痛みまで、直線上で自分の痛みの位置を指さす方法です。


痛みの伝え方のコツ:医師が知りたい5つのポイント

痛みのスケールに加えて、以下のような情報も一緒に伝えると、より正確な診断ができます。

  1. いつから痛いか(例:昨日から、1週間前から)
  2. どこが痛むか(例:腰、足の裏、右手首)
  3. どんな痛みか(例:ズキズキ、ビリビリ、締めつける感じ)
  4. 痛みが強くなるタイミング(例:歩くとき、夜になると)
  5. 他に感じる症状(例:しびれ、熱っぽさ)

糖尿病と痛み:神経障害の可能性も

糖尿病の患者さんは、神経障害による「ピリピリ」「しびれ」「焼けるような痛み」を感じることがあります。
これは
糖尿病性神経障害による痛み(神経障害性疼痛)で、通常の痛み止めが効きにくいことも

正確に痛みを伝えることで、専門的な治療(神経障害に効く薬など)がスムーズに始められます。


痛みやしびれにお悩みの方へ

はごろも内科小児科(立川市)では、内科・糖尿病内科の診療に加え、慢性の痛みや神経障害性疼痛に対する評価・治療も行っています。

「どう伝えたらよいかわからない…」という方でも、医師が丁寧に聞き取りを行いますのでご安心ください。
スケールを使って伝えるだけで、診察がとてもスムーズになります。


まとめ:痛みのスケールを使って、医師と共有しましょう

  • 痛みを「数字」「顔」「線」で表すことで、伝えやすくなります
  • 発症時期・場所・性質・悪化因子・併発症状も伝えましょう
  • 糖尿病の方の痛みは、神経障害が関係していることも
  • 正しく伝えることで、治療が早く進み、生活の質が改善されます

はごろも内科小児科(立川市)では、患者さん一人ひとりに寄り添いながら、痛みの評価と適切な治療をサポートしています。どうぞお気軽にご相談ください。

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

はごろも内科小児科
院長 田丸新一(Shinichi Tamaru)
医師、医学博士

2004年自治医科大学医学部医学科卒業。高知県県立中央病院、国保沖の島へき地診療所所長、本山町国保嶺北中央病院内科医長を経て、東京医科大学病院 糖尿病・代謝・内分泌内科助教。東京医科大学大学院医学研究科社会人大学院入学。東京大学大学院医学系研究科糖尿病代謝内科。二次性高血圧の機械学習モデルでの研究により医学博士取得。東京北医療センター糖尿病内科、山王病院 糖尿病内分泌代謝内科副部長、東京医科大学病院糖尿病・代謝・内分泌内科助教を歴任。医学の研究も積極的に行ってきた。


日本内科学会 内科認定医、総合内科専門医・指導医
日本糖尿病学会専門医・指導医
日本内分泌学会 内分泌代謝内科専門医・指導医
日本肥満学会所属
東京都難病指定医、東京都小児慢性特定疾病指定医
厚生労働省臨床研修指導医講習修了
緩和ケア研修会終了

目次