健診で「甲状腺異常」を指摘されたらどうする?

健康診断で「甲状腺の異常」…これって大丈夫?
健康診断の結果で「甲状腺ホルモンが高め/低め」や「甲状腺腫大」などと書かれていると、驚いたり不安に思ったりする方も多いのではないでしょうか。
甲状腺は小さな臓器ですが、体全体の代謝やエネルギーに深く関わる重要な器官です。異常があっても症状が出にくいこともあり、健診ではじめて見つかるケースも少なくありません。
この記事では、健診で甲状腺異常を指摘された場合にどうすればよいか、わかりやすく解説します。
甲状腺ってどこにあって、どんな働きをしているの?
甲状腺は、のどぼとけの下あたりにある「蝶の形」をした臓器で、全身に影響するホルモン(T3、T4)を作っています。
このホルモンは:
- エネルギーの消費を調整する
- 体温を保つ
- 心拍数を調整する
- 脳や内臓の働きを支える
といった働きを持ちます。
健診で「甲状腺異常」と言われたときに考えられる主な病気
健診で指摘される甲状腺の異常には、以下のようなものがあります。
1. 甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)
甲状腺ホルモンが出すぎる病気です。
- 動悸・汗が増える
- 体重が減る
- 手がふるえる
- イライラする
といった症状がある一方、軽度だと無症状のこともあります。
2. 甲状腺機能低下症(橋本病など)
甲状腺ホルモンが不足する病気です。
- 疲れやすい
- 寒がり
- 体重が増える
- 気分が落ち込む
特に女性や中高年に多く、更年期症状やうつ病と間違われることも。
3. 甲状腺の腫れ・しこり(甲状腺腫瘍)
甲状腺が腫れている・しこりがあるといった場合、良性も悪性もあります。エコー検査や血液検査で詳しく調べる必要があります。
糖尿病と甲状腺の関係にも注意が必要
あまり知られていませんが、糖尿病と甲状腺疾患は関係が深いことがあります。
特に1型糖尿病や自己免疫性の疾患を持つ方は、橋本病などの甲状腺疾患を合併しやすいことが知られています。また、甲状腺の異常があると血糖値のコントロールに影響が出ることもあります。
健診で甲状腺の異常を指摘された方は、糖尿病のチェックも含めて内科で相談することが大切です。
まずは内科へ!検査と診断の流れ
健診結果で「甲状腺異常」と書かれていたら、専門的な検査を行える内科(できれば甲状腺に詳しい医師)を受診しましょう。
当院(はごろも内科小児科/立川市)では、以下のような検査を行います:
- 血液検査(甲状腺ホルモン、TSH、自己抗体)
- 頸部エコー(超音波検査)
- 必要に応じて関連施設に依頼をして甲状腺シンチグラフィー(画像検査)
これらをもとに、甲状腺の状態や病気の有無を診断します。
治療が必要なケースと経過観察でよいケース
甲状腺の異常すべてが治療対象になるわけではありません。
- 数値がわずかに外れているだけで無症状 → 経過観察
- ホルモン値が大きく異常 or 症状あり → 薬による治療
たとえば、バセドウ病ならホルモンを抑える薬、橋本病で機能低下があれば補充するホルモン薬を使用します。甲状腺腫瘍については、必要に応じて専門医へ紹介します。
まとめ:健診は「気づき」のチャンス。放置せず、まずは内科で確認を
健診で甲状腺異常を指摘されたら、「自覚症状がないから大丈夫」と放置せず、ぜひ一度内科でご相談ください。
甲状腺の病気は、早期発見・適切な対応で健康的な生活を送ることができます。また、糖尿病との関連性もあるため、総合的なチェックができる内科の受診が大切です。
はごろも内科小児科へお気軽にご相談ください。
よくあるご質問(FAQ)
Q. 甲状腺の再検査はどのくらいの頻度で受ければいいですか?
A. 異常の程度によって異なりますが、軽度であれば3〜6か月ごと、治療が必要な場合は月1回〜数か月ごとの受診が一般的です。
Q. 健診結果に「TSHが高め」とありました。これだけで病気ですか?
A. 単独では判断が難しいため、詳しい血液検査や症状の確認が必要です。放置せず、内科を受診しましょう。