1型糖尿病とSGLT2阻害薬|効果・ケトアシドーシスの注意点

1型糖尿病とSGLT2阻害薬

SGLT2阻害薬は尿への糖の排泄を増やす薬です。日本では一部の製剤が成人の1型糖尿病に対するインスリンとの併用に用いられますが、すべての製剤・患者さんに適するわけではありません。インスリンの代わりにはならず、ケトアシドーシスへの注意が特に重要です。

目次

1型糖尿病でSGLT2阻害薬を検討するとき

インスリン治療を続けても血糖管理が十分でない場合などに、製剤の適応を確認し、専門医が利益とリスクを評価します。体重だけで適応は決まりません。低血糖歴、腎機能、脱水のリスク、併用薬、血糖・ケトン体の確認や体調不良時の対応が可能かも検討します。

期待される効果と継続中の確認

HbA1cや体重に改善がみられ、インスリン必要量が変わる場合があります。ただし、自己判断でインスリンを減らすことは危険です。血糖記録、低血糖の頻度、体重、体調を確認しながら調整します。

血糖値が高くなくてもケトアシドーシスに注意

SGLT2阻害薬の使用中は、著しい高血糖がなくてもケトアシドーシスが起こることがあります。吐き気、嘔吐、腹痛、強いだるさ、息苦しさがあるときは、血糖値だけで安心せず速やかに医療機関へ連絡してください。指示を受けている方はケトン体も確認します。

発熱、下痢、嘔吐、食事が十分にとれないときには、SGLT2阻害薬を休薬して医師に相談することが推奨されています。一方、インスリンは自己判断で中断しないでください。手術や検査前の休薬についても、あらかじめ担当医と確認します。

そのほかの副作用と日常の注意

  • インスリンとの併用による低血糖。
  • 尿量の増加に伴う脱水。水分摂取は心臓・腎臓の状態や指示に合わせます。
  • 尿路感染症や性器感染症。排尿時痛、発熱、かゆみなどは相談します。

極端な糖質制限、過度な飲酒、インスリンの中断などはケトアシドーシスの危険を高めます。薬の開始時には、体調不良時の行動と連絡先を具体的に決めておきましょう。

当院院長が参加した49人の研究

田丸新一医師が著者として参加した2025年の論文では、SGLT2阻害薬を開始した1型糖尿病患者49人の診療録を後ろ向きに解析しました。開始後に低血糖がみられた群では、糖尿病歴が長く体重が軽い傾向があり、利尿薬使用は中止と関連していました。

これは少人数の観察研究で、因果関係を証明したものではありません。患者さんごとに治療を選び、開始後も経過を確認する必要性を考える資料です。論文要旨(Journal of Diabetes Investigation, 2025;16:1420–1429)をご覧ください。

よくある質問

インスリンを減らすために使えますか?

治療の目的は安全な血糖管理です。注射量を減らすことだけを目的に使用する薬ではありません。適応や調整は専門医と相談してください。

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この記事を書いた人

はごろも内科小児科【糖尿病 高血圧 内分泌 甲状腺 在宅医療】 
院長 田丸新一(Shinichi Tamaru)
医師、医学博士

立川市、国立市を中心とした地域医療を展開する、はごろも内科小児科院長。
2004年自治医科大学医学部医学科卒業。高知県県立中央病院、国保沖の島へき地診療所所長、本山町国保嶺北中央病院内科医長を経て、東京医科大学病院 糖尿病・代謝・内分泌内科助教。東京医科大学大学院医学研究科社会人大学院入学。東京大学大学院医学系研究科糖尿病代謝内科。二次性高血圧の機械学習モデルでの研究により医学博士取得。東京北医療センター糖尿病内科、山王病院 糖尿病内分泌代謝内科副部長、東京医科大学病院糖尿病・代謝・内分泌内科助教を歴任。医学の研究も積極的に行ってきた。


日本内科学会 内科認定医、総合内科専門医・指導医
日本糖尿病学会専門医・指導医
日本内分泌学会 内分泌代謝内科専門医・指導医
日本肥満学会所属
東京都難病指定医、東京都小児慢性特定疾病指定医
厚生労働省臨床研修指導医講習修了
緩和ケア研修会終了

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