糖尿病食事療法:食べてコントロールする習慣

食事療法
目次

はじめに

糖尿病と聞くと、「甘いものを一切やめないといけない」と思っていませんか?
実は、糖尿病の治療において大切なのは、「食べない」ことではなく「上手に食べる」ことです。適切な食事療法は、血糖値を安定させ、合併症の予防にもつながります。

この記事では、内科の視点から、無理なく続けられる糖尿病の食事療法の基本を、やさしく解説します。

食事療法が大切な理由とは?

糖尿病は、インスリンの作用が不十分になることで血糖値が高くなる病気です。高血糖状態が続くと、網膜症、腎症、神経障害などの合併症が進行します。

しかし、毎日の食事を少し工夫するだけで、血糖コントロールは大きく改善します。

なぜ「食事」がそんなに重要なの?

血糖値は、食べたものに大きく影響されます。特に炭水化物(ごはん・パン・麺など)をとると血糖値は上昇しますが、量や組み合わせを工夫すれば、急上昇を抑えることが可能です。

食事療法の基本5つのポイント

1. 食事は1日3回、規則正しく

食事の時間を一定にすることで、血糖値の乱高下を防ぐことができます。特に朝食を抜くと、次の食事で血糖値が急上昇しやすくなるため要注意です。

2. 主食・主菜・副菜をバランスよく

和食の基本のように、主食(ごはんなど)+主菜(魚や肉)+副菜(野菜やきのこ)を意識しましょう。野菜は1日350gを目標に。

3. 食物繊維をたっぷりとろう

野菜、海藻、豆類、全粒粉などに含まれる食物繊維は、糖の吸収をゆるやかにし、血糖値の上昇を抑えます。また、脂質異常症やコレステロール対策にも効果的です。

関連リンク:農林水産省「食物繊維のはたらき」

4. 食べる順番を意識する

食事は、野菜や汁物から食べ始め、炭水化物は最後に食べると、血糖値の上昇を抑えられるとされています。「ベジファースト」という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。

5. 甘いものは「適量」を守ればOK

「甘いもの=絶対禁止」ではありません。血糖値の状態を確認しながら、タイミングや量を考えて楽しむことも可能です。例えば、間食として果物を1日1品、などの工夫ができます。

よくある質問(Q&A)

Q:糖尿病の食事は薄味にしないといけませんか?

A:塩分の摂取量は控えめが望ましいですが、だしや香味野菜、スパイスを使えばおいしく食べられます。特に高血圧や腎症を合併している方には塩分管理が大切です。

Q:お酒は絶対にダメですか?

A:基本的に適量であれば飲酒は可能です。ただし、糖質の多いビールや日本酒は控えめに。糖尿病治療中の方は、医師と相談しましょう。

糖尿病と他の生活習慣病との関係

糖尿病は、甲状腺疾患・脂質異常症・高血圧などと合併することが多い病気です。特にコレステロール値が高い方や内臓脂肪が多い方は、生活習慣の見直しが重要です。

だからこそ、総合的にサポートできる内科の受診が勧められます。

『はごろも内科小児科』での取り組み(立川市)

当院では、糖尿病をはじめとする生活習慣病のトータルサポートを行っています。食事指導や、医師による血糖管理、甲状腺や脂質異常症の診断・治療も行っています。

初めての方でも、わかりやすく丁寧にご説明しますので、不安のある方はお気軽にご相談ください。

まとめ

糖尿病の食事療法は、制限ではなく“習慣づくり”です。
無理なく、そしておいしく、健康的な生活を送りながら血糖値をコントロールすることは十分可能です。

「食べること」をあきらめずに、正しい知識と工夫で、未来の健康を守りましょう。

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この記事を書いた人

はごろも内科小児科
院長 田丸新一(Shinichi Tamaru)
医師、医学博士

2004年自治医科大学医学部医学科卒業。高知県県立中央病院、国保沖の島へき地診療所所長、本山町国保嶺北中央病院内科医長を経て、東京医科大学病院 糖尿病・代謝・内分泌内科助教。東京医科大学大学院医学研究科社会人大学院入学。東京大学大学院医学系研究科糖尿病代謝内科。二次性高血圧の機械学習モデルでの研究により医学博士取得。東京北医療センター糖尿病内科、山王病院 糖尿病内分泌代謝内科副部長、東京医科大学病院糖尿病・代謝・内分泌内科助教を歴任。医学の研究も積極的に行ってきた。


日本内科学会 内科認定医、総合内科専門医・指導医
日本糖尿病学会専門医・指導医
日本内分泌学会 内分泌代謝内科専門医・指導医
日本肥満学会所属
東京都難病指定医、東京都小児慢性特定疾病指定医
厚生労働省臨床研修指導医講習修了
緩和ケア研修会終了

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