甲状腺機能低下症の症状と日常生活での注意|わかりやすく解説

「最近、疲れやすい」「寒がりになった」「気分が落ち込みやすい」――
そんな不調が続いている方、それは甲状腺機能低下症が原因かもしれません。
今回は、甲状腺機能低下症の特徴と、日常生活で気をつけたいポイントをわかりやすくご紹介します。
甲状腺機能低下症とは?ホルモン不足で体が“低速モード”に
甲状腺は、首の前側(のどぼとけの下あたり)にある小さな臓器で、甲状腺ホルモンを分泌しています。このホルモンは、体の代謝やエネルギー消費を調整する役割があります。
甲状腺ホルモンが不足すると、全身の働きがゆっくりになる状態(=低下症)になります。まるで体が「スローモード」になったような状態です。
甲状腺機能低下症の主な症状
甲状腺機能低下症の症状は一見すると年齢やストレス、更年期と見間違いやすく、見逃されがちです。
● よくある症状
- 疲れやすい、だるい
- 寒がりになる、手足が冷える
- 体重が増える(食べる量が変わらなくても)
- 便秘がち
- 肌の乾燥、髪のパサつき、抜け毛
- むくみ(特に顔や手足)
- 気分が落ち込む、やる気が出ない
- 月経不順や不妊
● 日常生活での変化に要注意
- 歩くスピードが遅くなった
- 記憶力や集中力が低下した
- 声がかすれてきた、低くなった
これらの症状が複数重なる場合は、甲状腺の異常を疑うサインです。
糖尿病と甲状腺機能低下症の関係
甲状腺のホルモンバランスは、血糖コントロールにも密接に関わっています。
特に以下のような関係が注目されています:
- 糖尿病(特に1型)の患者さんは、自己免疫疾患として橋本病(甲状腺機能低下症の原因)を合併しやすい
- 甲状腺機能が低下すると、血糖値が下がりにくくなり、脂質代謝も悪化する
そのため、糖尿病の治療中に倦怠感やむくみなどの症状があれば、甲状腺の検査も推奨されます。
どんな人がなりやすい?
甲状腺機能低下症は、以下のような人に多く見られます:
- 30〜60代の女性
- 家族に甲状腺疾患のある方
- 橋本病など自己免疫疾患のある方
- 糖尿病や高脂血症の持病がある方
甲状腺機能低下症の診断方法
当院では以下の検査で診断を行っています。
● 血液検査(ホルモンと抗体のチェック)
- TSH(甲状腺刺激ホルモン)
- FT4(遊離サイロキシン)
- 必要に応じてTPO抗体、Tg抗体(自己免疫の有無)
● 超音波(エコー)検査
- 甲状腺の大きさ、腫れや結節の有無を確認します
日常生活で気をつけたいポイント
甲状腺機能低下症は、治療を続けながら日常生活の工夫をすることで、快適に過ごすことができます。
1. 無理をしない生活リズム
- 疲れやすいため、こまめな休憩や質の良い睡眠を大切にしましょう
2. バランスのとれた食事
- ヨウ素の過剰摂取(昆布・海藻)には注意
- ビタミンB群や鉄分など、代謝に関わる栄養素を意識
3. 体重管理
- 代謝が低下しているため、急激な体重増加に注意
4. 薬の飲み忘れに注意
- 甲状腺ホルモンの補充薬(チラーヂン®など)は毎日決まった時間に服用
- 食後ではなく、空腹時に服用が基本です
5. 定期的な通院と血液検査
- 薬の効果やホルモンバランスの確認が重要です
よくある質問(Q&A)
Q. 甲状腺機能低下症は完治しますか?
A. 橋本病が原因のケースでは、甲状腺の機能は徐々に低下していくため、基本的には生涯にわたりホルモン補充が必要です。
Q. 市販薬やサプリメントで改善できますか?
A. ホルモンの不足は自己管理では補えません。必ず医師の診断と処方に基づく治療が必要です。
まとめ:不調を放置せず、専門医に相談を
「年のせいかな?」「ストレスかな?」と思っていた体調不良が、実は甲状腺機能低下症によるものだったという方も少なくありません。
内科や糖尿病の診療を受けている方は、甲状腺のチェックも合わせて行うことをおすすめします。
甲状腺の検査・治療は『はごろも内科小児科』(立川市・国立市)へ
当院では、糖尿病や生活習慣病、甲状腺疾患の診療を総合的に行っています。
「疲れがとれない」「最近体重が増えてきた」「朝がつらい」といったお悩みがある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
地域のかかりつけ内科として、皆さまの健康をしっかりサポートいたします。