甲状腺腫瘍ってがん?良性と悪性の違いを解説

「健康診断で“甲状腺にしこりがある”と言われたけれど、大丈夫?」
「甲状腺腫瘍って、全部が“がん”なの?」

そんな不安を抱える方のために、甲状腺腫瘍の種類や、がんとの違い、検査・治療の流れをわかりやすくご紹介します。


目次

甲状腺腫瘍とは?できものの総称です

甲状腺腫瘍とは、甲状腺にできる“できもの”の総称です。
すべてががん(悪性)というわけではなく、多くの場合は良性の腫瘍やのう胞(液体がたまった袋)です。

できものの性質を見極めることで、「経過観察でよいのか」「治療が必要か」を判断します。


良性腫瘍と悪性腫瘍(甲状腺がん)の違い

項目良性腫瘍悪性腫瘍(がん)
性質増殖するが転移しない転移や周囲への浸潤がある可能性
進行ゆっくり、または止まることもある基本的に進行性
自覚症状ほとんどないことが多い声がれ・飲み込みにくさ・しこりの急な増大など
治療方針経過観察または手術手術・放射線治療などが検討される

甲状腺腫瘍の主な種類

● 良性腫瘍

  • 腺腫(せんしゅ):もっとも多く、転移しない。手術せず経過観察で済むことも。
  • 嚢胞(のうほう):液体がたまった袋のようなもので、ほとんどが無症状。

● 悪性腫瘍(甲状腺がん)

  • 乳頭がん:甲状腺がんの中で最も多い。進行がゆっくりで、予後は良好なことが多い。
  • 濾胞がん:ややまれだが、血管や骨への転移の可能性がある。
  • 未分化がん:非常に進行が早いが、まれなタイプ。
  • 髄様がん:遺伝性の場合もあり、家族歴の確認が重要。

どうやって見分けるの?診断の流れ

甲状腺腫瘍の診断には、いくつかのステップがあります。

1. 超音波(エコー)検査

甲状腺の大きさ・しこりの性質・形・石灰化の有無などを詳しく観察。
良性・悪性の「見た目の違い」が分かる

2. 血液検査

甲状腺ホルモン(TSH、FT4)や腫瘍マーカー(Tg、カルシトニン)を測定。

3. 細胞診(穿刺吸引細胞診)

エコーで確認しながら細い針でしこりの細胞を採取し、がん細胞の有無を調べます。
→ 外来で実施可能。痛みは少なく、数分で終了。


「がんだったら…」と不安になりすぎないでください

甲状腺がんの多くは進行が非常にゆっくりで、早期発見・治療により良好な予後が得られます。

たとえがんと診断されても、以下のような特徴があります:

  • 乳頭がんの10年生存率は90%以上
  • 転移があっても命に関わらないケースが多い
  • 手術によって根治が期待できる

糖尿病との関係:ホルモンバランスへの配慮

甲状腺の異常は、糖尿病の血糖コントロールに影響を与えることがあります。

  • 甲状腺機能が高すぎると、血糖値が上がりやすくなり、糖尿病の治療が難しくなることがあります。
  • 逆に機能が低下すると、低血糖のリスクが増すことも。

糖尿病のある方で「のどの違和感」「疲れやすさ」「体重変化」がある場合は、
甲状腺のチェックもおすすめです。


よくあるご質問(Q&A)

Q. 健康診断で「甲状腺腫瘍あり」と言われました。すぐ病院に行くべき?
A. 基本的には、内科または内分泌専門医で再検査を受けましょう。
当院では超音波と血液検査、必要に応じて細胞診まで行えます。

Q. 手術が必要になることは多いですか?
A. 良性の場合は経過観察で済むことが多く、悪性と判断された場合のみ手術を検討します。

Q. しこりがある=がん ではないのですか?
A. しこりの約90%以上は良性といわれています。まずは落ち着いて検査を受けることが大切です。


まとめ|不安なときは、まず検査を受けましょう

甲状腺腫瘍は、「がん」という言葉で過度に心配されがちですが、
ほとんどは良性で、定期的なチェックで十分なケースが多いのです。

また、万が一がんであっても、早期発見と治療で良好な経過が期待できます。


甲状腺の検査・相談は、立川市の内科『はごろも内科小児科』へ

当院では、甲状腺疾患・糖尿病・生活習慣病を総合的に診療しています。
首の腫れやしこり、疲れやすさなどが気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。

立川市・国立市・国分寺市で安心して通える内科として、地域の皆さまの健康をサポートいたします。

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この記事を書いた人

はごろも内科小児科【糖尿病 高血圧 内分泌 甲状腺 在宅医療】 
院長 田丸新一(Shinichi Tamaru)
医師、医学博士

2004年自治医科大学医学部医学科卒業。高知県県立中央病院、国保沖の島へき地診療所所長、本山町国保嶺北中央病院内科医長を経て、東京医科大学病院 糖尿病・代謝・内分泌内科助教。東京医科大学大学院医学研究科社会人大学院入学。東京大学大学院医学系研究科糖尿病代謝内科。二次性高血圧の機械学習モデルでの研究により医学博士取得。東京北医療センター糖尿病内科、山王病院 糖尿病内分泌代謝内科副部長、東京医科大学病院糖尿病・代謝・内分泌内科助教を歴任。医学の研究も積極的に行ってきた。立川市、国立市を中心とした地域医療を展開する、はごろもないか小児科院長に就任。


日本内科学会 内科認定医、総合内科専門医・指導医
日本糖尿病学会専門医・指導医
日本内分泌学会 内分泌代謝内科専門医・指導医
日本肥満学会所属
東京都難病指定医、東京都小児慢性特定疾病指定医
厚生労働省臨床研修指導医講習修了
緩和ケア研修会終了

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