下垂体の病気:プロラクチノーマの症状と治療について

■ プロラクチノーマとは?

「プロラクチノーマ」とは、脳の下垂体にできる良性の腫瘍(下垂体腺腫)の一種で、プロラクチンというホルモンを過剰に分泌する病気です。
プロラクチンは、本来は妊娠や授乳に関わるホルモンですが、過剰になると体にさまざまな不調が出てきます。


■ どんな症状が出るの?

プロラクチノーマの症状は、性別や年齢によって異なります。

◯ 女性の場合:

  • 生理が止まる、または周期が乱れる
  • 不妊
  • 乳汁が出る(授乳していないのに)
  • 頭痛や視力障害(腫瘍が大きくなると)

◯ 男性の場合:

  • 性欲の低下、勃起障害
  • 筋力の低下
  • 不妊
  • 乳房のふくらみ(女性化乳房)

※症状が軽いと気づかれにくく、糖尿病や高血圧とあわせて検査することで発見されることもあります。


■ 検査と診断

診断には以下の検査を行います:

  • 血液検査:プロラクチンの値を調べます。
  • MRI検査:下垂体の腫瘍の有無や大きさを確認します。

「はごろも内科小児科」でも、必要に応じて専門医療機関と連携しながら検査を進めています。


■ 治療法は?

治療は、ほとんどの場合、薬による治療(内服)で改善が見込めます。

▶ 主な治療薬

  • ドパミン作動薬(カベルゴリン、ブロモクリプチンなど)
    プロラクチンの分泌を抑え、腫瘍を小さくする効果があります。

▶ その他の選択肢

  • 手術:薬が効かない場合や、腫瘍が大きくて視力に影響する場合
  • 放射線治療:まれに選択されます

■ よくあるご質問(Q&A)

Q. がんですか?
A. プロラクチノーマは良性腫瘍です。がんではありません。

Q. 治療は一生続きますか?
A. 多くの人は薬でコントロール可能です。数年で薬を減らせることもあります。

Q. 糖尿病や高血圧と関係がありますか?
A. プロラクチノーマ自体が原因になることは少ないですが、生活習慣病との併存が多く、トータルに健康を管理することが大切です。


■ まとめ:気になる症状があれば早めの相談を

「生理が止まった」「不妊が気になる」「視力に異常がある」「性機能の変化がある」など、日常のちょっとした変化が、下垂体の病気のサインかもしれません。

立川市の「はごろも内科小児科」では、内科・糖尿病内科の専門医がホルモン異常にも対応しています。
不安なことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。


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この記事を書いた人

はごろも内科小児科【糖尿病 高血圧 内分泌 甲状腺 在宅医療】 
院長 田丸新一(Shinichi Tamaru)
医師、医学博士

立川市、国立市を中心とした地域医療を展開する、はごろも内科小児科院長。
2004年自治医科大学医学部医学科卒業。高知県県立中央病院、国保沖の島へき地診療所所長、本山町国保嶺北中央病院内科医長を経て、東京医科大学病院 糖尿病・代謝・内分泌内科助教。東京医科大学大学院医学研究科社会人大学院入学。東京大学大学院医学系研究科糖尿病代謝内科。二次性高血圧の機械学習モデルでの研究により医学博士取得。東京北医療センター糖尿病内科、山王病院 糖尿病内分泌代謝内科副部長、東京医科大学病院糖尿病・代謝・内分泌内科助教を歴任。医学の研究も積極的に行ってきた。

日本内科学会 内科認定医、総合内科専門医・指導医
日本糖尿病学会専門医・指導医
日本内分泌学会 内分泌代謝内科専門医・指導医
日本肥満学会所属
東京都難病指定医、東京都小児慢性特定疾病指定医
厚生労働省臨床研修指導医講習修了
緩和ケア研修会終了

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