橋本病とは?症状と診断・治療法をわかりやすく解説

「最近なんとなく疲れやすい」「体が冷える」「体重が増えてきた」――そんな症状がある方は、もしかしたら橋本病(はしもとびょう)かもしれません。

今回は、橋本病の症状や原因、診断法、治療の流れをわかりやすくご紹介します。


目次

橋本病とは? ― 甲状腺の働きが低下する病気

橋本病は、正式には「慢性甲状腺炎」と呼ばれる、自己免疫性疾患の一つです。
体の免疫システムが誤って自分自身の
甲状腺を攻撃し、炎症を起こします。その結果、甲状腺ホルモンが不足しがちになる(=甲状腺機能低下症)のが特徴です。


橋本病の主な症状

橋本病は進行がゆっくりのため、気づかれにくいことが多くあります。以下のような症状が見られる場合は注意が必要です。

● よくある症状

  • 疲れやすい、だるい
  • 体重が増えた(食べすぎていないのに)
  • 寒がりになった、冷え性がひどくなった
  • 肌が乾燥しやすい
  • 便秘気味
  • むくみやすい
  • 月経不順
  • 気分が落ち込みやすい、集中力が続かない

これらは「年齢のせい」「更年期かな」と見過ごされることもありますが、甲状腺ホルモン不足による可能性があります。


糖尿病と橋本病の関係

橋本病は自己免疫の異常が原因で起こるため、1型糖尿病や他の自己免疫疾患との合併が多いことが知られています。
また、2型糖尿病の方でも、橋本病を併発すると代謝のバランスが崩れやすくなるため、血糖コントロールに影響を及ぼすことがあります。

糖尿病治療中に「疲れやすさ」や「冷え」などの症状が気になる方は、甲状腺ホルモンの検査も一度受けてみましょう。


橋本病の診断方法

橋本病は、以下のような検査で診断されます。

● 血液検査

  • 甲状腺ホルモン(FT4、FT3)
  • 甲状腺刺激ホルモン(TSH)
  • 甲状腺自己抗体(TPO抗体、Tg抗体)

甲状腺ホルモンの値が低く、TSHが高くなっている場合、甲状腺機能低下症(=橋本病)と診断されることがあります。

● 超音波検査(エコー)

  • 甲状腺の腫れ具合や内部の変化(線維化や結節)を確認します。
  • 痛みはなく、数分で終わる検査です。

橋本病の治療法は?

● 軽度の場合:経過観察

甲状腺ホルモンが正常に近い場合は、定期的な検査で経過を見ていくこともあります。

● ホルモン不足がある場合:ホルモン補充療法

足りなくなった甲状腺ホルモンを薬(チラーヂン®など)で補う治療を行います。

  • 飲み薬を毎日1回服用するだけの治療です
  • 数週間~数か月で症状が改善するケースも多いです
  • 一度治療を始めたら継続的なフォローが必要です

放置するとどうなるの?

甲状腺ホルモンが不足したままだと、次のような問題が起こる可能性があります:

  • 日常生活での疲労感・集中力低下
  • 高脂血症(コレステロール上昇)
  • 不妊や月経異常
  • 心臓への負担(徐脈や心不全)

※とくに中高年の女性は発症率が高く、注意が必要です。


橋本病はどんな人に多い?

  • 30〜60代の女性に多い(男性も発症します)
  • 家族に甲状腺疾患や自己免疫疾患がある
  • 糖尿病などの生活習慣病・自己免疫疾患のある方

まとめ:何となくの不調は、甲状腺からかもしれません

橋本病は、放置すると生活の質が大きく下がってしまう病気です。
しかし、早期に見つけて適切に治療すれば、普通の生活を取り戻すことが可能です。

「なんとなく不調が続く」「年齢のせいかも」と思っている方も、一度、内科で甲状腺の検査を受けてみてはいかがでしょうか?


よくある質問(Q&A)

Q. 橋本病は完治しますか?
A. 根本的な完治は難しいですが、ホルモン補充療法で症状は安定します。日常生活に支障なく過ごせる方がほとんどです。

Q. 検査はどこで受けられますか?
A. 『はごろも内科小児科』では、血液検査・超音波検査の両方に対応しております。


ご相談は『はごろも内科小児科』(立川市・国立市)へ

当院では、糖尿病や甲状腺疾患などの慢性疾患の管理を総合的に行っています。
「橋本病かもしれない」と感じたら、どうぞお気軽にご相談ください。

あなたの“なんとなくの不調”を一緒に見つけて、しっかりサポートします。

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この記事を書いた人

はごろも内科小児科【糖尿病 高血圧 内分泌 甲状腺 在宅医療】 
院長 田丸新一(Shinichi Tamaru)
医師、医学博士

2004年自治医科大学医学部医学科卒業。高知県県立中央病院、国保沖の島へき地診療所所長、本山町国保嶺北中央病院内科医長を経て、東京医科大学病院 糖尿病・代謝・内分泌内科助教。東京医科大学大学院医学研究科社会人大学院入学。東京大学大学院医学系研究科糖尿病代謝内科。二次性高血圧の機械学習モデルでの研究により医学博士取得。東京北医療センター糖尿病内科、山王病院 糖尿病内分泌代謝内科副部長、東京医科大学病院糖尿病・代謝・内分泌内科助教を歴任。医学の研究も積極的に行ってきた。立川市、国立市を中心とした地域医療を展開する、はごろもないか小児科院長に就任。


日本内科学会 内科認定医、総合内科専門医・指導医
日本糖尿病学会専門医・指導医
日本内分泌学会 内分泌代謝内科専門医・指導医
日本肥満学会所属
東京都難病指定医、東京都小児慢性特定疾病指定医
厚生労働省臨床研修指導医講習修了
緩和ケア研修会終了

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