1型糖尿病とSGLT2阻害薬|治療の安全性を診療記録から考える

血糖を下げる薬を使うときには、数値がどう変わるかとともに、生活の中で困ることが起きていないかを確認します。田丸新一院長が第2著者・責任著者を務めた東京医科大学の研究は、1型糖尿病の方にSGLT2阻害薬を追加したときの経過を、診療記録から調べたものです。
目次
インスリンとSGLT2阻害薬の働き
1型糖尿病では、すい臓でつくられるインスリンが不足するため、インスリンを補う治療が基本です。SGLT2阻害薬は、腎臓で血液に戻されるブドウ糖の一部を尿に出しやすくします。インスリンとは作用する場所が異なります。使用の可否は、薬ごとの適応や患者さんの状態を踏まえて判断します。
49人の診療記録で、低血糖と服薬の経過を調べました
研究では、東京医科大学病院で薬を開始した49人について、インスリン量がどう調整されたか、低血糖があったか、薬の中止にどんな特徴が関わったかを振り返りました。開始前に低血糖の記録がなかった方にも、開始後に低血糖がみられました。利尿薬の使用と、SGLT2阻害薬の中止にも関連がみられました。
対象者は一つの施設で治療を受けた方です。利尿薬を使う方には別の病気や治療上の事情があることも考えられます。この研究から、利尿薬が中止の原因だったかや、どの方にどの程度副作用が起こるかまでは判断できません。
血糖の数字と、体調の両方を確認する
低血糖のほかに気をつけたいのが、インスリンが不足し、血液中にケトン体がたまる糖尿病性ケトアシドーシスです。SGLT2阻害薬の使用中は、血糖値が著しく高くなくても起こることがあります。食事や水分がとれない日などの対応を事前に主治医と確認し、薬やインスリンを自己判断で調整しないことが大切です。吐き気や嘔吐、腹痛、息苦しさなどがあるときは、血糖値だけで判断せず、速やかに医療機関に相談してください。





