高血圧の原因を探る|原発性アルドステロン症と機械学習の研究

血圧が高いと言われたら、「塩分をとりすぎたのかな」と考える方もいらっしゃるかもしれません。血圧にはさまざまな要因が関わります。その中には、ホルモンの働きを調べると原因が見つかり、治療方針が変わる病気もあります。東京医科大学で田丸新一院長が博士論文として取り組んだのは、その一つである原発性アルドステロン症の研究です。
血圧を上げるホルモンが、必要以上に出ると
腎臓の上には、左右に一つずつ「副腎」という小さな臓器があります。副腎がつくるアルドステロンは、腎臓で塩分や水分を保ち、血圧を調整するホルモンです。必要以上につくられると血圧が上がり、血液中のカリウムが低くなることがあります。カリウムの値が正常な方もいます。
なぜ、右と左を調べるのでしょうか
この病気が疑われるときは、まず血液中のアルドステロンと、分泌の調節に関わるレニンを確認します。薬などが検査値に影響するため、服薬状況も含めて結果を読み取ります。病気と診断されたあと、手術を考える場合には、左右どちらの副腎からホルモンが多く出ているかを調べます。
片側の副腎が主な原因なら、手術が選択肢になります。両側から過剰に出ている場合などは、アルドステロンの作用を抑える薬が治療の中心になります。CTは副腎の形を見る検査です。ホルモンがどちらから多く出ているかを直接調べるには、専門施設で左右の副腎の静脈から採血する「副腎静脈サンプリング」が役立ちます。
154人の検査記録から、何が分かったか
研究チームは、原発性アルドステロン症と診断され、この採血検査を受けた154人の記録を振り返りました。血液検査や、薬・点滴に対するホルモンの反応を見る負荷試験の結果に、片側からの過剰分泌を見分ける手がかりがあるか、機械学習で調べました。ここでの機械学習は、複数の検査結果の組み合わせと、実際の診断との関係をデータから学ぶ方法です。
負荷試験後のアルドステロンや、アルドステロンとレニンの比、血液中のカリウムなどが手がかりになりました。論文で報告した指標の組み合わせでは、片側性の方を見つける割合は70%でした。研究対象の中でも見逃しがあり、予測だけで採血検査を省けるとは判断できません。
研究結果と、現在の診療での判断
この研究は、どの方に詳しい検査が必要かを考える材料を探したものです。2025年の米国内分泌学会のガイドラインでは、手術を検討する場合、原則としてCTと副腎静脈サンプリングを用いて左右差を評価することを提案しています。実際の検査や治療は、血圧、検査結果、手術を希望するかなどを踏まえて相談します。





