甲状腺・内分泌
甲状腺は首の前側にある小さな臓器で、体の代謝(エネルギーの使い方)を調整するホルモンを出しています。ここに異常があると、体の調子が大きく変わります。
内分泌とは、体内で分泌される「ホルモン」の働きを調整する仕組みのことです。ホルモンは体の代謝・体温調節・血圧🟦 甲状腺(こうじょうせん)の病気について
◆ バセドウ病(甲状腺の働きが強くなりすぎる)
- 特徴:体が「常にアクセル全開」状態になります。
- 症状:動悸、汗が多い、暑がり、体重が減る、手がふるえる、目が出る感じがする
- 治療:飲み薬でホルモンを抑えたり、必要に応じて放射線や手術を行います。
◆ 橋本病(甲状腺の働きが弱くなる)
- 特徴:体が「スロー」になってしまう状態です。
- 症状:だるい、寒がり、体重が増える、便秘、抜け毛が多い、むくみ
- 治療:足りないホルモンを補うお薬(チラージンなど)で治療します。
◆ 甲状腺のしこり(結節)
- 特徴:首にしこり(腫れ)を感じることがあります。ほとんどは良性ですが、ごく一部にがんが含まれることがあります。
- 検査:超音波(エコー)や細い針で細胞をとって調べます。
- 治療:必要に応じて経過観察、手術などを行います。
🟩 副甲状腺(ふくこうじょうせん)の病気
甲状腺のすぐ近くにある小さな臓器で、血液中のカルシウムのバランスを保つ働きをしています。
◆ 副甲状腺機能亢進症(カルシウムが高くなる)
- 症状:疲れやすい、便秘、骨がもろくなる、腎結石ができやすい
- 治療:手術で取り除いたり、お薬で調整します。
◆ 副甲状腺機能低下症(カルシウムが低くなる)
- 症状:手足がしびれる、こむら返り、けいれん
- 治療:カルシウムやビタミンDの補給で調整します。
🟨 下垂体(かすいたい)の病気
脳の下にあるホルモンの司令塔です。ここに腫瘍ができることがあります。
◆ よくある病気の例:
- プロラクチンが多い腫瘍:女性では生理が止まる、母乳が出る。男性では性欲が下がることも。
- 成長ホルモンが多い腫瘍:大人では顔や手足が大きくなり、体型が変わる。
- 副腎への指令が増える腫瘍:太りやすくなり、血圧や血糖が上がることもあります。
- 治療:お薬でホルモンを抑えたり、必要に応じて手術します。
🟥 副腎(ふくじん)の病気
腎臓の上にある小さな臓器で、体をストレスから守るホルモンを出します。
◆ アルドステロンが多く出る病気(血圧が上がる)
- 症状:高血圧、血液中のカリウムが低くなる
- 治療:腫瘍があれば手術、両側ならお薬で調整
◆ クッシング症候群(ステロイドホルモンが多すぎる)
- 症状:顔が丸くなる、おなかが出る、筋力が落ちる、血糖や血圧が高くなる
- 治療:原因となる腫瘍を取り除く手術や、お薬でホルモンを抑えます。
◆ アジソン病(副腎がうまく働かない)
- 症状:だるさ、食欲がない、体重が減る、色が黒くなる(皮膚)
- 治療:足りないホルモンをお薬で補います(ステロイド内服など)
◆ 褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ)
- 症状:突然の高血圧、頭痛、動悸、汗
- 治療:腫瘍を取り除く手術が基本。手術前に血圧を安定させる薬が必要です。
🌟 ご相談の目安
「最近なんとなく体調がすぐれない」「体重が変化した」「汗や動悸が気になる」「首のしこりが気になる」など、気になる症状があれば早めの受診をおすすめします。